糸の太さ・繊維径の単位について説明します
糸の太さ(繊度(せんど)ともいいます。)は、非常に細くて柔らかいし中空繊維(中空糸)もあるし、丸断面の糸ばかりではなくて、光沢糸や吸汗速乾などの異形糸もあるし、また、衣料用の糸は軽く押されただけでつぶれて扁平になるので、(一般的には)ノギスやシックネスゲージ(厚みゲージ)では、簡単に測定できません。
また、嵩高糸(かさだかし)や撚りの強さなどで見た目の太さも変わります。
(織物・編物等の生地ならば、まだ厚みも硬さもそれなりにあるので厚みの測定は容易です。)
(注)釣り用のモノフィラメント糸等の場合は、直径が約1mmある場合もあり、糸自体も硬いので、その際は、糸の太さを、mm(ミリ)単位で計測・表示する場合もあります。
そのため、糸の長さと重量を使用して、恒長式番手や恒重式番手で糸の太さを表します。
その糸(繊維)が長繊維(フィラメント糸)か?短繊維(スパン糸)か?によって、使用する糸の太さの単位が違います。
上の画像は、シックネスゲージ:thickness gage(厚み測定器)の画像です。
(織物や編物、不織布などの生地の厚みを測定する際に使用します。単位は、mm(ミリ)です。)
短繊維と長繊維の違いとは?
短繊維と長繊維の違いについては、こちらで説明しています。
長繊維の場合の糸の太さの単位(恒長式番手:こうちょうしきばんて)
恒長式番手(こうちょうしきばんて)の場合は、単位長あたりの重量で、太さをあらわします。
(糸の素材の密度や比重の違いによって番手が同じでも、見た目の太さ[厚みや断面積]は、違うことがあります。)
(例としては、ポリエステル(PET)は、比重が1.38。ポリプロピレン(PP)は比重が0.91です。比重が、5割近く違う(約1.52倍)ので、同じ太さの表示でも糸の厚みは、5割近くポリプロピレンのほうが太いです。実際の見た目の太さは、厚み(直径)よりも断面積のほうがより太さという表現の感じ方としては正確かもしれません。断面積の差は、約2.3倍となります。)
糸の太さの単位は、生糸やレーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの合成繊維(長繊維)や絹(シルク)の場合、以前は、デニール:単位 dまたは、D(denier)を使用していました。
1デニールは、9,000メートルの糸の質量をグラム単位で表したものです。
単位の名称は、フランス語のdenier(貨幣)に由来します。
(例えば、9,000メートルで50グラムの場合、50デニールとなります。)
長繊維の糸の太さの単位は、デシテックス(dtex)または(T)を使用します
現在では、デシテックス(dtex)または、(T)を使用するようになりました。
1デシテックス(dtex)は、10,000メートルの糸の質量をグラム単位で表したものです。
単位の名称(tex)は、英語のtextile(織物、布)に由来します。
(例えば、10,000メートルで55グラムの場合、55デシテックスとなります。)
したがって、dtex = (10,000 ÷ 9,000) x d
デニールの約1.11倍がデシテックスの数字となります。
尚、デシテックスの”デシ”は、十分の一の意味です。
また、テックス(tex)は、国際単位系(SI単位)の暫定併用単位とされており、国内では、日本工業規格(JIS)により規格化されています。
(注)「デシ」(deci)とは?
単位の 10-1 倍 (10分の1)を表わすSI接頭語です。
記号は、「d 」です。
たとえば 1dl(デシリットル)=0.1l です。
「デシ」は、ラテン語のデケム (10)に由来します。
長繊維で糸の太さや長さを計算式で算出(概算)することができます
長繊維で糸の重量(g)や太さ(dtex)、長さ(m)が分かっている時に、糸の長さや糸の太さを計算式で算出する方法を別記事で紹介しています。
よろしければ、ご覧ください。
デニールとは?
デニール(denier)とは、繊維や糸の太さ(細さ)を表すために使用される単位です。
主に、繊維製品や織物の分野で使用されます。
現在は、デシテックス(dtex)が、国際単位(SI単位)として広く使用されています。
デニールは、1グラム(g)の質量を持つ繊維の長さが、何メートル(m)になるかを表します。
具体的には、デニール数が高いほど繊維が太く、低いほど繊維(糸)が細いことを意味します。
例えば、1デニールは1グラムの質量の繊維が、9,000メートルの長さを持つことを示します。
短繊維の場合の糸の太さの単位(恒重式番手:こうじゅうしきばんて)
短繊維の太さの単位は、主に2つあります。
恒重式番手(こうじゅうしきばんて)なので、番手数が大きいほど、太さは細くなります。
(恒長式番手は、逆で、番手数が大きいほど、太さは太くなります。)
1:メートル番手(mm)[共通式番手]
糸の重さ1,000gに対して、糸の長さ1,000mのものを1番手、2,000mのものを2番手としています。
ウールの毛糸や、アクリルスパン糸、アクリル混紡糸に用いられます。
表示例:
20番単糸 → 1/20mm
20番双糸 → 2/20mm
2:英国式綿番手(s)
糸の重さ1ポンド[単位;lb](453.6g)に対して、長さ840ヤード[単位;yd](768.1m)のものを1番手、1,680ヤードのものを2番手としています。
綿糸や、絹紡糸、スフ糸、ポリエステルスパン糸、ポリエステル混紡糸等の天然繊維や合成繊維のスパン糸の場合に用いられます。
表示例:
20番単糸 → 20s/1
20番双糸 → 20s/2
糸の太さの換算式
①英国式綿番手 ⇒ デニール・デシテックス番手 の場合
(デニール番手) = 5,314.84 ÷ (英国式綿番手)
(デシテックス番手) = 5,905.4 ÷ (英国式綿番手)
②メートル式番手 ⇒ デニール・デシテックス番手 の場合
(デニール番手) = 9,000 ÷ (メートル式番手)
(デシテックス番手) = 10,000 ÷ (メートル式番手)
まとめ
長繊維の糸の太さの単位は、デシテックス(dtex)を使用します
短繊維の糸の太さの単位は、メートル番手(mm)または、英国式綿番手(S)を使用します
(注意)同じ糸の太さであっても、素材の違いによって、実際の見た目の太さは違います。
同じ番手やデシテックスの糸であっても、素材が違うと密度(比重)がそれぞれ異なります。
同じ333デシテックスの糸であっても、
ポリプロピレンの比重 0.90
ポリエステルの比重 1.39
なので、1.39 ÷ 0.90 = 1.544
となり、断面積は、ポリエステルの方が、約1.5倍大きいです。
番手やデシテックスという太さの単位は、重量と長さのみによって決められているからです。
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この記事は、㈲津田産業直販部社員で、セミリタイアおじさんの越野勤が書きました。

越野勤(こしのつとむ)は、石川県かほく市にある1935年創業で88年の歴史のゴム紐製造販売の有限会社津田産業直販部(かほく支店)の営業部長・問合せ担当で、サイト運営者・著者・ゴム紐のゴムプロ:gomuproです。
年齢は66才です。(2023年現在)
1980年に信州大学繊維学部繊維工学科卒業で、大学時代の4年間は、糸や繊維、ゴム紐、織物・編物・製紐・染色・プリントの勉強をしました。広幅織物製造工場で、撚糸、整経、製織等。細幅織ゴム、編ゴム製造工場でカバーリング、生産、染色、品質管理、生産管理、在庫管理の作業等。製紐工場で製紐を学び、営業、インターネット販売をするなど、約50年間ずっと、繊維業界で企画・製造・販売・マーケティング(販促)の仕事を経験してきました。
現在、㈲津田産業直販部でゴム紐の企画、製造販売、マーケティングを担当しています。(約5年間)
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